人間は何時ごろから“かわ”を使い始めたのでしょう。太古の昔では、人類が狩猟によって獲物を捕らえ、肉を食用・骨を道具にそして残った生皮を体の保護や保温の為に利用したのが始まりでありましょう。
人類が最初に身に着けた衣服は恐らく動物の“かわ“であったと思われます。其の後我々は日常の使用に適する様に色々と工夫し、加工する事を学びました。即ち乾燥しても硬くならない、濡れても生皮の状態にならない、腐敗しない、熱で変形しない、酸やアルカリで膨れたり変形したりしない様に工夫する方法を学びました。この事を我々は“なめし”(鞣し)と言います。
われわれの先人はこの事を字で表現しています。即ち“皮を鞣して革と成る”とし、皮と革を漢字で明確に区別しました。
現在革として利用されている動物は大半が牛、豚、羊、馬、ヤギ、その他希少品として爬虫類や、ダチョウ、サメの革も利用されています。
近代皮革製造工業では、この鞣し工程に於いて、多くの機械的工程と多種多様な化学薬品や多くの工業製品を駆使した技法により高品質な革を作るために日々努力をしています。
そのおおまかな工程を図で表示すると共に各工程の使用商品の簡単な説明を致します。
人間生活において、色彩は、すべての五感を誘発し、情操を豊かにする大事な要素です。また古くから、権力・宗教の象徴としても用いられてきました。
有史以来、染色は我々の生活に不可欠なものとして、脈々と受け継がれた技術の織り成すドラマの1ページを刻んでいます。
1856年合成染料をイギリスの化学者 W.H.パーキンが当時、石炭文明の中において石炭ガス・コークス生産後の厄介者であったコールタールを分留し、アニリンを抽出、アニリンより赤紫色の色素(ティリアン=パープル)を発見し、紫色染料モーブを発明するまで、世界中では、植物や動物、貝より抽出された天然染料で染色が行われていました。
有機化学の発展とあいまって人工的に合成する技術が飛躍的に進み、天然染料に代わって、より色彩豊かな合成染料による染色が多くなり現在に至っています。
そのおおまかな染色工程を図で表示すると共に、染料についての簡単な説明を致します。
繊維製品は、製糸・紡績・製編・染色加工・縫製などの諸工程を経てつくられます。
工程の中間に位置する染色加工は、繊維材料に化学的・物理的加工を施して色や模様、
機能性や感性を付与し、全体の商品価値を高める為に行います。染色加工は、
準備工程(前処理工程)・染色工程(浸染・連続染色・捺染)、仕上工程に分けられ、湿潤と乾燥が
繰り返されて、繊維製品の最終的な性能を決める大切な工程となります。
準備工程(前処理工程)
糊抜き・精練・漂白・シルケットなど、染色加工前に行われる工程
染色加工
浸染・連続染色や捺染などの染色方法で繊維品に着色することをいいます。
仕上工程
物理的方法や化学的方法で繊維製品に最終的な性能を付与する工程をいいます。